There's a certain Slant of light-

Cologne Cathedral

「There's a certain Slant of light-」 - エミリー・ディキンソン

 エミリー・ディキンソンといえば、絶望や死、そして教会への鬱屈した感情のイメージが強いですが、この詩も例に洩れずそんな雰囲気です。

 彼女の詩にはタイトルがありませんので、タイトルの代わりに1行目の文章を掲載しています。そして大文字で始まる単語は、ダブルクォーテーション(“”)で囲むようにしています。


和訳 原文(English)
斜陽”が確かに射している
There's a certain Slant of light
冬の午後─
Winter Afternoons -
それは胸を詰まらせる、
That oppresses, like the Heft
“大聖堂に響く旋律”の重圧のように─
Of Cathedral Tunes -
和訳 原文(English)
神聖な痛み”、それは私達に授け給う─
Heavenly Hurt, it gives us -
私達が発見できるのは傷痕ではなく、
We can find no scar
内なる差違
But internal differencet
その“意味”の在処なのだと─
Where the Meanings, are -
和訳 原文(English)
誰にも、それは教えられない─何人たりとも─
None may teach it - Any -
それは“絶望の印章”─
'Tis the Seal Despair -
荘厳な苦痛は
An imperial affliction
“浮わついた”私達に宛てて送る─
Sent us of the Air -
和訳 原文(English)
それが訪れる時、景色は聴き従う─
When it comes, the Landscape listens -
影たち─彼らは息を殺す─
Shadows - hold their breath -
それが去る時、それは歳月のようなもの
When it goes, 'tis like the Distance
死の様相に至るまでの─
On the look of Death -

※補足

個人的雑感:
 エミリー・ディキンソンの詩への理解に関しては「彼女のみぞ知る」って開き直るようにしていて、あまり深く考えないようにしています。だって分かんねぇんだもん!!
 しかし、敢えて一つ言うのであれば。彼女の詩は原文の韻律を楽しむものなのかなぁ、と感じたりしている。英語でこそのこの表現を、日本語にそのまま移植するのはまず無理。それこそまさにディキンソンが天才と称される所以でしょう。

Slant of light:
 今回は「斜陽」と訳してみたものの、果たしてそれが正しい表現なのかどうかは不明……。
 もしかしたら「穿った見方」とか「正常とは違う、斜めな考え」とか、そういう意味も込められているのかも?

神聖な痛み:
 従来訳では「私たちに“天罰”が与えられた」とするのが一般的だったようですが、なんかその表現違うなぁ……って気がしたので、直訳した結果、こういうカタチになりました。
 「天罰が私たちに与えられた」というよりも「痛みが私たちに(何かしらの気付き等を)与えた」という意味合いなのでは?と自分は考えました。

私達が発見できるのは~:
 ↑の「“神聖な痛み”、それは~」も加味して、トータルで軽くまとめてみると。人間関係の中で時として起こる意見や信仰の相違による衝突で、自分の心が傷付けられたときに。傷付いて初めて、違う意見が世の中に存在している意義に気付くことができた、みたいなニュアンスなのだと思います。
 ディキンソンといえば十九世紀アメリカにしては珍しく、あまり信仰心の強い人物ではなかったとのことから、信心深い周囲との間に隔たりのようなものを感じていたのかもしれませんねぇ(と勝手に想像してみる)。

それ:
 9行目以降に登場する「それ(it, 'Tis)」という文言のほとんどは、最初の行に登場した「斜陽(Slant of light)」を指していると思われます。

それは歳月のようなもの~:
 ごめんなさい、ここに関しては「breath」と「Death」で韻を踏んでるんだろうなってこと以外、よく分からないです。


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