シアル語/エルカ語について
作中において「シアル語/エルカ語」という架空言語が登場することがあります。
登場人物がこの言語を用いて会話を行ったりするシーンが偶に出現しますが……とはいえそのシーンには暫定訳が掲載されている(はず)なので、この言語をマスターしなくても物語を読み進めていくことが可能です。
そんなこんなでこのページは「架空言語についての裏設定を知りたい」もしくは「ラドウィグくんみたいなシアル語話者に、私もなりたい!!」という変態向けのコンテンツとなっています。興味のある方は是非、見ていってくださいまし。
基礎
シアル語もエルカ語もほぼ同一の言語であり、差異は殆どない。
基本的な文型としてSVO型を採用し、文字は音素記号を採用している。
5つの母音、19の子音によって構成されている。
文字たちは、古の時代にて占いの際に用いられたシンボルに由来している。シアル語においてその占者は「オブリルトレ王家の女王」とされているが、一方エルカ語では「創造主らの長」とされている。
「シアル語」とは
シアル語は「神ノ禍」を中心とした物語軸に登場する際に用いられる名称。別の言い方をすると「人間がこの言語を扱う時に用いられる名称」となるかもしれない。
そのシアル語には「新シアル語=ジェ・シハラン:Je sihalan」と「古シアル語=ガ・シハラン:Ga sihalan」の二種類が存在している。
「新シアル語」と「古シアル語」とでは、上述のように用いられる字体が異なるものの、その文字自体は同一の意味と音を持っている。片仮名か平仮名かの違い、そういう関係性に近い、かもね?
Je sihalan
シアル王家の成立と共に文字が「新字体」へと改められ、その際に名称が特に定められていなかった言語に「新シアル語」という名が与えられた。
「新シアル語」において文字は「誰もが簡単に読み取ることができる、個々人が持つ“クセ”に影響されない形」が良いとされている。角張った字体は、その為である。文字を手書きする際には、定規を使用することが好まれる。それゆえ、字を書き上げるために手間と時間が掛かることが難点とされている。
正確さが強く求められる字体であることから、書画というような芸術は発展していかなかった。その一方で、活字の作りやすい字形であることから活版印刷の文化が栄えていた。刊本といったものが庶民にとっても身近な存在であったことから、(貧困層が多く治安も悪かった南アルヴィヌ地域を除き)識字率は高かったとのこと。
活版印刷文化のお陰で王都ブルサヌのみならず、アルヴィヌ全域やサイラン自治領にもこの文字は広く伝わり、定着した。辺境サラネム山岳地帯を除いたシアルン神国全域が、この文字を使っていたのだ。
古シアル語に存在する長音文字「ファギー・ヤフ:Fagii Yaf」は存在しない。その代わりに、長音を表現する際には「レイアー:Leiaa」や「クイー:Kuii」といったように、母音を二つ並べて表記する。
また新シアル語には「子音が強い」という特徴がある。筆記の際には、子音の後に続く母音が省かれることがあり、それに伴って言葉の一部が有声音/無声音のみに変わることもある。例えば「ウラル:Ulal」のような変化が起こる。
Ga sihalan
シアル王家によって言語と文字が定義された時、それ以前に使用されていたものには仮の名前「古シアル語」が宛がわれ、区別された。
「古シアル語」において文字は「その場で素早く筆記できること」が良いとされている。字体はグネグネかつフニャフニャとしていて、書き手のクセが強く反映される。解読困難な文字を書く者は、まあ珍しい存在でもない。
そのユニークな字体から、書画という文化が発展していった。その一方で、読みとりにくい字体であることから識字率は悪く、「新シアル語」が台頭するまでは庶民の大半が識字能力を持っていなかった。そして誕生した書画という文化もまた、サラネム山岳地帯に残るオブリルトレ王家の末裔シャグライ族が密かに受け継ぐ程度にまで堕ちた。
新シアル語の台頭によりこの言語および文字は廃れ、辺境サラネム山岳地帯にしか残らなかった。そのサラネム山岳地帯において「識字率の問題」は依然存在しており、サラネム山岳地帯に居住するラムレイルグ族の八割は文字の読み書きができないとされている。
新シアル語には存在しない長音文字「ファギー・ヤフ:Fagí Yafu」を保有する。長音を表現する際には「レイアー:Leiá」や「クイー:Kuí」といったように、母音にアクセントを表記する。
また古シアル語には「母音が強い」という特徴がある。そして筆記の際にも、子音の後には母音を必ず書き、決して省略をしない。例えば「ウラル:Ulalu」のように、新シアル語では省かれてしまいがちな語尾の母音を古シアル語はハッキリと表記する。
「エルカ語」とは
エルカ語は「エールケディスの旅人」を中心とした物語軸、ないし神族種が登場する際に用いられる名称で、正式には「エルカニス:Yelekanis」と呼ばれている。別の言い方をすると「神族種がこの言語を扱う時に用いられる名称」となるかもしれない。
エルカ語には「2種類の文字」が存在し、それはシアル語の「新/古」と同一のもの。新字体は「特別に重要な記述」を書き表すときに用い、古字体は「普段の筆記」に用いる。
文法は「新シアル語」と同一。古シアル語のように、母音にアクセントを付ける書き方をするものは「創造主か、それと同じぐらい古い存在か、もしくはスカし野郎」とされている。
「音素記号」の意味
5つの母音、19の子音によって構成されている。
文字たちは、古の時代に占いの際に用いられた石に描かれたシンボルに由来する。占術に使われていた石ないし記号たちは「ヘー・ヤフア:Hé Yafua」と呼ばれていた。
「へー:Hé=不確定な」「ヤフア:Yafua=道標」だとされている。「Yafua」だけが後世に残り、「ヤフ:Yaf=記号」という単語となった。
子音の意味はシアル語/エルカ語で共通しているものの、母音の意味のみ異なっている。
「母音(シアル語)」の意味
母音 | 原語および意味 | 要素 |
---|---|---|
A:A:A | 《霊水》の流した涙 | 水 |
E:E:E | 《息吹》が靡かせる髪 | 風 |
I:I:I | 《光帝》が纏いし衣 | 昼 |
O:O:O | 《幻影》が纏いし衣 | 夜 |
U:U:U | 《業火》の迸る情熱 | 炎 |
「母音(エルカ語)」の意味
母音 | 原語および意味 | 要素 |
---|---|---|
A:A:A | 絶えず変化をし続けるもの | 水 |
E:E:E | 新しきを運ぶもの | 風 |
I:I:I | 誕生したものを育むもの | 地 |
O:O:O | 全てのものの起点たるもの | 空 |
U:U:U | 無から有を生み出すもの | 炎 |
「子音」の意味
- 語尾に「s」がつくものは、物質性/肉体的なものを象徴し、男性的である。
- 語尾に「n」がつくものは、精神性/神秘的なものを象徴し、中性的である。
- 語尾に「k」がつくものは、二面性/感情的なものを象徴し、女性的である。
- シアル語/エルカ語で概ね意味は共通しているが「女王」の意味のみ、エルカ語では変化する。
- エルカ語では単に「酋長」と置き換えられ、無性的ないし両性的なニュアンスとなる。
- またエルカ語では「女王の佩く剣」は「酋長に授けられし神器」となる。
子音 | 原語および意味 | のちに誕生した言葉 |
---|---|---|
B:B | Barades:バラデス 肉体と魂を繋ぎし、魂の器たる脳。 |
Brad:ブラド 脳。知性。 |
C:C | Colanken:コランケン 罠の存在を知らずに川を泳ぎ続ける魚。 |
Colnek:コルネック 魚。うすのろ。 |
D:D | Dék:ディーク 支配の手が及ばぬものの、恵の得られぬ地。 |
Dee:ディー 砂地。砂漠。 |
F:F | Fienas:フィエナス 冷酷なる不変の真理を覆い隠す天幕。 |
Fiene:フィネ 膜。薄皮。 |
G:G | Ghalun:ガルン 偉大なる女王が佩く、神秘の力を持ちし剣の刃。 |
Ghal:ガル 剣。切り札。 |
H:H | Helulek:ヘルレク 満ち引きを繰り返し、移ろい続ける潮。 |
Hell:ヘル 衰退。没落。 |
J:J | Jezas:イェザス 高き天空を翔ける隼の輝かしき双翼。 |
Jezl:イェズル 隼。勇敢さ。 |
K:K | Keilun:ケイルン 偉大なる自然の悠然たる相貌。 |
Kelan:ケラン 森。堂々とした様。 |
L:L | Lúfek:ルーフェク 犠牲を厭わぬ戦士に与えられる至高の名誉。 |
Luuf:ルーフ 名誉。高貴さ。 |
M:M | Melulas:メルラス 理性を容易く凌駕する抗えぬ衝動。 |
Mel:メル 愛情。恋人。 |
N:N | Negusan:ネグサン 全てのものが最後に行き付く無。 |
Negsa:ネグサ 停止。終結。 |
P:P | Poalók:ポアローク 崩壊と引き換えに熱を奪う、脆く冷たき霜。 |
Pollow:ポッロウ もや。薄膜。 |
R:R | Rehanas:レハナス あらゆるものの支配を拒む野性。 |
Rhan:ラン 獣。野性。 |
S:S | Sikan:シカン 何物も近付くことが敵わない光。 |
Si:シ 光。眩さ。 |
T:T | Tehonik:テホニク 全てのものを等しく包む優しき夜闇。 |
Thonia:ソニア 闇。影。 |
V:V | Valulas:ヴァルラス 血肉に飢えた鋭き牙と爪。 |
Vall:ヴァル 牙。凶器。 |
W:W | Wikakun:ウィカクン 手負いの獣があげる、緊張に満ちた咆哮。 |
Wikk:ウィック 叫び声。咆哮。 |
Y:Y | Yelek:イェレク 全てのものに等しく宿る暖かき波動。 |
Yele:エール 生命。生物。 |
Z:Z | Ziacas:ジアカス 剣を打つために必要な冷たき鋼鉄。 |
Zacs:ザックス 金属。鋳鉄。 |
「発音」の差異
発音・発声は地域ごと、ないし種族ごとにやや異なっている。俗に言う「訛り」というやつ。
- アルヴィヌ領:軟口蓋化が多く見られることが特徴的な訛り(西部地域は硬口蓋化となる)。「b/w」の発音が同じで、どちらも「b」になっている。
特に訛りの強い南アルヴィヌでは、「b/w/v」が全て「b」の発音になる。- エルカ語においては「北のエルフ」がこれに該当する。
- サイラン領:摩擦音が多く見られることが特徴的な訛り。猫のようだと俗に言われている。「s/ʃ/θ」の音を「ʃ」と発音する。
- エルカ語においては「東のエルフ」および「ケット・シー」、「ドワーフ」がこれに該当する。
- サラネム山岳地帯とソロゥラム族:硬口蓋化が多く見られることが特徴的な訛り。ソロゥラム族は更に有気音が混じる。
- エルカ語においては「西のエルフ」および「オルフェウスの子ら」がこれに該当する。
- 王都ブルサヌ:あまりクセがなく、サラッとしている。ただし全体的に子音の発音がかなり強めになる。
- エルカ語においては「ホビット」がこれに該当する。
- 王侯貴族:「最も訛りのない正規のもの」とされている。日本語的ローマ字発音。
- 尚、某政の大臣はシアル王家でありながらも、やや西アルヴィヌ訛りが目立つとか、なんとか。
- エルカ語においては「南のエルフ」がこれに該当する。南のエルフらの発音が最も聞き取りやすく、エルカ語において綺麗なものとされている。
「特異な前置詞」について
原則として英語「Of」に該当する言葉「ラー:Lar」は、筆記の際に「-(古:-)」の記号で表記する。
「-」の後に母音が先頭にある単語が続く場合、その音は「ラン:Lann」に変形するが、表記は「-」のまま変わらない。
この記号は、新シアル語においては「英霊ラントを象徴するもの」、エルカ語ないし古シアル語においては「無から有を生み出す創造主の御手」だとされている。
代名詞
主格
英語 | 新シアル語/エルカ語 | 古シアル語 |
---|---|---|
I | マ:Ma | マー:Má |
You | ワ:Wa | ヤー:Yá |
He | ヴァ:Va | ヴァー:Vá |
She | タ:Ta | ター:Tá |
It | ガティエル:Gatiell | ガティエル:Gatiell |
We | シェタ:Sieta | シーター:Sítá |
They | ハン:Han | ハー:Há |
所有格
英語 | 新シアル語/エルカ語 | 古シアル語 |
---|---|---|
My | マイ:Mai | マイー:Maí |
Your | ワイ:Wai | ヤイー:Yaí |
His | ヴァイ:Vai | ヴァイー:Vaí |
Her | タイ:Tai | タイー:Taí |
Its | ガティエリ:Gatielli | ガティエリー:Gatiell |
Our | シェティ:Sieti | シタイー:Sitaí |
Their | ハング:Hang | ハイー:Haí |
目的格
英語 | 新シアル語/エルカ語 | 古シアル語 |
---|---|---|
Me | マブ:Mab | マーブ:Mábu |
You | ワブ:Wab | ヤーブ:Yábu |
Him | ヴァブ:Vab | ヴァーブ:Vábu |
Her | タブ:Tab | ターブ:Tábu |
It | ガティエル:Gatiell | ガティエル:Gatiell |
Us | シェト:Sieto | シーターブ:Sítábu |
Them | ハンバー:Hanbaa | ハーブ:Hábu |
所有代名詞
英語 | 新シアル語/エルカ語 | 古シアル語 |
---|---|---|
Mine | マガン:Magan | マーガン:Mágan |
Yours | ワガン:Wagan | ヤーガン:Yágan |
Him | ヴァガン:Vagan | ヴァーガン:Vágan |
Hers | タガン:Tagan | ターガン:Tágan |
Ours | シェガン:Siegan | シーガン:Sígan |
Theirs | ハンガン:Hangan | ハーガン:Hágan |
再帰代名詞
英語 | 新シアル語/エルカ語 | 古シアル語 |
---|---|---|
Myself | マーバシッド:Maabasid | マーバシド:Mábasido |
Yourself | ワーバシッド:Waabasid | ヤーバシド:Yábasido |
Himself | ヴァーバシッド:Vaabasid | ヴァーバシド:Vábasido |
Herself | ターバシッド:Taabasid | ターバシド:Tábasido |
Itself | ガーバシッド:Gaabasid | ガーバシド:Gábasido |
Ourseleves | シェタバシッド:Sietabasid | シーターバシド:Sítábasido |
Themseleves | ハンバシッド:Hanbasid | ハーバシド:Hábasido |
指示代名詞
英語 | 新シアル語/エルカ語 | 古シアル語 |
---|---|---|
This | デナ:Dena | デーナ:Déna |
These | デナス:Denas | デーナス:Dénasu |
That | アゲイティ:Ageiti | アゲイティ:Ageiti |
Those | アゲイティス:Ageitis | アゲイティス:Ageitisu |
疑問詞
疑問代名詞
英語 | 新シアル語/エルカ語 | 古シアル語 |
---|---|---|
Who | ケア:Cea | ケーア:Céa |
Whose | ケガン:Cegan | ケーガン:Cégan |
Whom | ケブ:Ceb | ケーブ:Cébu |
What | カナ:Cana | カーナ:Cána |
Which | コタ:Cota | コータ:Cóta |
疑問副詞
英語 | 新シアル語/エルカ語 | 古シアル語 |
---|---|---|
When | カムスン:Camsn | カームスン:Cámusun |
Where | カイン:Cayn | カーイン:Cáyin |
What | カナ:Cana | カーナ:Cána |
Why | カブルヴ:Cablv | カーブルヴ:Cábuluvu |
How | キバ:Ciba | キーバ:Cíba |